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 春、それは生命の萌え出る季節である。宇宙大生命の大きな営みは、縮図として小さな一本の草花の姿にも写し出されている。五感・六感の感覚だけでは、生命の働きも生命そのものも直接感じ取ることはできないが、生命の歩んだ足跡・生命の営みの結果を移り変わる姿としてとらえることはできる。その移り変わる姿を通して、生命の働きを・生命そのものを直接感じ取ろうとする生き方が、祈り(感謝)に始まって祈り(感謝)に終わる生き方である。

 生命は常に、マイナス(ハンディキャップ)を克服し和らげる働きとプラスを加え光輝かす働きの二つの働きを同時に行っている。その一例として草花を観察してみよう。ここに一粒の種子がある。生命はまだその活動を開始していない。今、草花の生命はこの地上に美しい花を開かせて自己の天命を完うしたいと願った。その願いに応えて、宇宙大生命はその一粒の種子を土壌の上に降ろしたのであった。春の陽光の柔らかい光がその土壌を暖め、地下水はほど好い潤いを種子に与え、適当な温度と水分が発芽に必要な環境として整えられた。いよいよ草花の生命は自らの力を発揮して素晴らしい自己表現をするための第一歩を踏み出すことになったのである。ます最初に殻を破り、根を出し、子葉をもたげていった。草花の生命は堅い土壌(困難・ハンディキャップ)を克服して根を広く張り巡らしてゆかなければならない。行く手に岩石があれば、それを溶かし、砕き、全力を振り絞って前進してゆかなければならない。また行く手にどんな厭なもの(動物の死骸・植物即ち仲間の死骸・糞尿等々)があっても、その中から自分に必要な栄養分を吸収して突き進まなければならない。次に草花の生命は、根から吸収した養分を材料にして、明るい太陽の光の助けを最大限に受けて、美しい花を開くという最終目標に向かって、一歩一歩着実に素晴らしい表現を積み重ねてゆかなければならない。そして、どの段階の表現においても大事なことは、根からは必要な栄養分を最大限に吸収することであり、地上においてはすべての枝葉を総動員して太陽の光を最大限に受けることである。そうすれば必ず、たくましい幹に大輪の美しい花を開かせることができるのである。

 人間一人一人も生命の自覚をもって、各自の天命を完うして、美しい花を開かせ、幸せ一杯の地上天国を、美しい花園を造り上げてゆかなければならない。そのためには、どんな苦労・困難にも勇気をもって立ち向かい、しっかりした根を張り、必要な栄養分を吸収するとともに、毎日毎日を祈り(感謝)によって、明るく楽しい幸せ一杯の生き方をして、常に前向きに建設的に進むことが大切である。宇宙大生命の最高の自己表現の場が人間なのである。どのような傑作が次々と誕生してくるのか楽しみである。人間は自ら最高の自己表現をするとともに、宇宙大生命の表現を眺めて生命の賛歌を歌い続けるものである。